眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……奥さん、だと?」

「夕葵は僕の妻だ」

「そんなこと、許されるとでも……」

「別に?
法律に違反することしているわけでもないし。
世間に恥じることはなにもしてない」

「も、問題にするからな!」

「……すれば?勝手に。
そっちこそこれですむなんて……思わないでね」

低い、低い夏生の声。

きっと、あの、凍り付くようなきれいな笑顔で笑ってる。

「……!!!」

苛立ちを含んだ足音が遠ざかっていく。
私はずっと、夏生の腕の中でただ泣きじゃくることしかできなかった。

「ごめんね、夕葵。
遅くなって。
もう大丈夫だから、安心して?」

「ごめん、ごめんなさい。
私のせいで、」

「うん?夕葵は気にしなくていいから」
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