眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……大丈夫、です」

……なんて夢。
夏生に助けを求めるなんて。
もうすでに、夏生との離婚が成立したって聞いている。
夏生も同意した、ってことだ。
なのに私、なに未練たらしく……。

「…………夏生」

「夕葵さん?」

「えっ?あ、なんでもないです」

……もういくら呼んだって。
夏生は私の傍にいない。


次の週もその次の週も、日曜日は本家に呼ばれた。
伯母様は毎回、ショートケーキを買ってくる。
私が無理して食べてるのわかってて、とっても嬉しそう。
でも、嫌だとはいえない。

車に乗って柏木さんが黙って差し出すバケツに、ケーキを吐き出す。

クリームの白と、苺の赤と。
少し混ざり合ったピンク。

この日だけ、柏木さんは何故か優しい。


その日は急に休みを取った、お手伝いの岬さんの代わりが見つからず……柏木
さんが、ごはんを作るといいだした。
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