眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「そういえば、ごめんなさいね。
私、夕葵さんが無理して合わせてくださってるって知らなくって。
柏木から怒られちゃったわ」

「え、あ、……いえ」

ううっ。
おばあさまに睨まれた。
伯母様のにたにた笑いも怖い。

「今日はお詫びに、って思ってチョコレートケーキにしたの。
これなら、食べられるでしょ?」

「……はい」

目の前にサーブされたのはいつものショートケーキじゃなくて、艶やかなチョ
コレートでコーティングされたケーキ。

「ここ、チョコレートが有名なお店なの。
ケーキも出してて、それも評判で。
今度はお口に合うといいんだけど」

「……いただきます」

ショートケーキじゃなくても、伯母様を目の前にすると、手は震えるものらし
い。
それでもいつもよりは気楽に一口。

……あれ?
これってそんなに評判店のケーキ、なのかな?
ビターっていうより、苦過ぎる、みたいな。
私の口がお子様だからなのかな?
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