眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「わかりました。
じゃあこちらに」

「……はい」

柏木さんが出て行ってちょっとため息。

……私になんの用なんだろ?

「よう」

部屋に入ってきた晃匡さんは、伯母様にそっくりなにたにた笑い、してた。

一回しか会ったとこないし、それもほとんど話さなかった。
それでも私は、この人があまり好きじゃない。
私の旦那様になる人だとわかっていても。

「あの、なにかご用、ですか?」

「用がないときちゃいけないわけ?
婚約者なんだから、別にいいだろ」

にたにたにたにた、気持ち悪い。

そのうち、柏木さんがお茶を持ってきてくれた。

「あ、柏木。
親父が渡したい書類があるから、来てくれっていってた」

「……いま、ですか?」

「そう、いま」
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