眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第二十三章傍にいられなくなるから――
その日は日曜日で、岬さんは休み。

……といっても柏木さんじゃごはんは作れないので、温めるだけのおかずを用
意してくれてる。
前のときは急用でそういうわけにはいかなかっただけで、大体いつもはそう
だ。

出された課題を唸りながらしていたら、チャイムが鳴った。

……誰だろ?

私が住んでるマンションは基本、誰も尋ねてこない。

コンコン。

そのうちドアがノックされて、困惑気味の柏木さんが顔を出した。

「夕葵さん。
その、……晃匡様がお見えになっているんですが」

「晃匡さん、が?」

……なんだろ?

「夕葵さんとふたりでお話ししたいということで。
どういたしましょうか?」

「えっと。
じゃあ、リビングよりこっちの方がいいですよね」

「そうですね」

< 521 / 613 >

この作品をシェア

pagetop