眼鏡とハンバーグと指環と制服と
晩ごはんは凄いご馳走だった。

……だって、ステーキだよ?
しかも松阪牛だって。
うわぁーっ。

もうご機嫌でごはんを食べてたんだけど……。

「……お話があります」

「……なん、ですか?」

なんだか真剣な柏木さんに不安になった。
ここのところずっと感じてた嫌な予感が、首をもたげる。

「夕葵さんが合格したら、ここを出ることにしました」

「な、ん、で……」

……予感的中。

「もう、家庭教師は必要ないですから」

「でも、傍にいてくれるんですよね?」

「別の部署……いえ。
大阪の支社に移ることにしました」

「なんで……!
おじいさまが、柏木さんを補佐につける、って!」

「……申し訳ありません。
でも、会社自体は辞めずに、影ながらお支えしますので」
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