眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第四章結婚してよかった、って思ってた
お盆はなつにぃとふたりで近所のお寺にある、七尾家と月原家のお墓参りに行
った。
……私のお父さんは、七尾家に婿養子に入ってたらしい。
たぶん、お母さんが一人娘だったからだとは思うけど、詳しいことはよく知ら
ない。
だって、おばあちゃんはお父さんがどんな人だったか、ってことはよく話して
くれたけど、お父さんの家族のことについては、一切私に話さなかった。
お父さんの家族は、お母さんと私と、おばあちゃんだけだって。
七尾のお墓に手を合わせながら思う。
……なんでおばあちゃん、なつにぃと無理にでも、結婚させようとしたんだ
ろ?
なんかそうでもしないと、不安なことがあったのかな?
だって、結婚とかしなくてもきっと、ひとりになった私を、なつにぃが放って
おくはずがない。
なのになんで?
あのときはいろいろ、切羽詰まってたのもあって、深く考えることができなか
ったけど。
いまになって、疑問に思う。
おばあちゃんは一体、なにを心配してたんだろ?
「ゆずちゃん、もういい?」