眼鏡とハンバーグと指環と制服と
なにもする気になれない私に、夏生は毎日ごはんを作ってくれる。
いつもちょっと焦げてたり、味がいまいちだったりするそのごはんが、何故か
おいしいって思ってた。


戻って一週間もたたないうちに、柏木さんから手紙が来た。
向こうで受けた大学入試、合格してた。
もし入学する意思があるんだったら、学費も生活費もすべて芝浦の方で見るの
で、連絡が欲しいということだったけど……。

丁重にお断りした。

落ち着くまではここを動きたくなかったし、また少しでも柏木さんと関わるの
はつらかった。

返事をしてすぐ、今度は芝浦の家から大量の荷物が送られてきた。
荷物の中身は、向こうで私が使ってたものやお洋服だった。

【これらはすべて夕葵のものだ。
取っておくといい。
いろいろ迷惑かけてすまなかった。
夕葵のこれからの倖せを陰ながら祈っている】

……そう、おじいさまから手紙が添えられていた。

受け取るか悩んだんだけれど、おじいさまの好意だから受け取っとくといい
よ、そう夏生にいわれて受け取ることにした。

……夏生は。
私になにもいわない。
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