眼鏡とハンバーグと指環と制服と
職員室から慌てて帰ってきた女子——野山さんはムキになって主張してる。

……って、もうちょっとこう、どうかした断り方なかったのかな!?

「人のものってことは、少なくとも彼女がいる、ってことだよな?
でも、彼女くらい、いてもおかしくないだろ?」

「いやいやいやいや。
なんか月原、意味深そうに笑ってたもん!
あれは絶対、結婚しちゃったのか、少なくとも婚約したんだって!」

「……で、どうなわけ?七尾」

……いや、私に振られても困る。
私と結婚したんです、なんて口が裂けてもいえないし。

「え、いや、知らないよ?
ほら、いまは家、隣じゃないし。
ましてや毎日、一緒にごはん食べてるわけでもないし」

「ああそうか。
いま、近藤さんちに住んでるんだっけ?」

「うん。そう。
だから、家に彼女とか連れてきててもわからないし」

……そろそろみんな、諦めてくれ!

「いままでそういう人、いなかったの?」
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