眼鏡とハンバーグと指環と制服と
それでもやっぱり、ね。

当の本人といえば。
相変わらずゆるーくふふって笑ってる。
そのせいか、噂が落ち着くのも、比較的早かった気がする。

……というかおかげで。
「月原先生はやっぱりほっとくと不安だから、七尾がしっかり面倒見てやれ」
みたいな風潮が強くなったような……。


お昼からの最初の授業は月原先生の日本史。
私は授業の中で、この時間が一番好きだ。

……別に、月原先生だから好きなんじゃない。
本当に、この授業は楽しいから。

「今日の授業は戦国時代だねー。
僕はね、実は織田信長さんって、所謂中二病だったんじゃないかと思うんだよ
ねー」

楽しそうに、月原先生は自分の見解で日本史を話し出す。
先生の授業スタイルはいつもそう。

受験用の日本史なんて暗記しかないから、要点押さえたプリント配るのでこれ
やっときなさい、だって。
代わりに僕は、みんなに日本史が好きになってもらいたいから、そういう授業
をするよ、って。

授業中は基本、邪魔さえしなければ、お昼寝だって、内職だってOK。

でも、聞いてないのは千ヶ崎たちくらい。
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