プロポーズ(第2話)



アメデオ・モディリアーニは19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、主にパリで活動した画家だ。

今でこそ彼はエコル・ド・パリ(パリ派)の画家のひとりとして評価されているが、生前はまったく売れない画家だった。

彼は失意のうちに三十五歳という若さで病死してしまうのだ。



あたしはつい涼一のことを考えてしまう。

涼一と同棲して三年になる。

彼はあまり売れていないイラストレーターだ。いくつかのペンネームを使い分けている。

ライトノベルのイラストを描いたり、エッチな小説のイラストを描いたりする。

エッチな漫画も描く。

エッチなゲームの中の小さな仕事も引き受けるし、地元のミニコミ誌のイラストも手掛けている。

そうしてなんとか食べていく程度のお金は稼いでいる。

飛行機で言えば、低空を上昇もせず下降もせずに飛びつづけている、といった感じだろうか。

自由業の世界では、それでもすごいことなのかもしれないけれど……。



< 2 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop