暁天の星
「お前を守ってくれる奴は俺達でも親でもない。那月だけだ。」
ハルが何を言いたかったのか。
ハルが何を伝えようとしてくれてたのか。
ごめんね、この時の僕は上手く受け取れてなかったかもしれないよ。
「俺は助けたりなんてしない。」
「うん。」
そんな風に言われても、僕はどこも傷ついてなくて。
その言葉とは裏腹に、ここに連れてきてくれただけで嬉しかったから。
「ハルは辛かったらここに来るの?」
「は?」
「いや、心が窮屈な時に来るのかなって。」
「んな時ねえよ。」
頭上から桜が降ってくる。
ああ、この淡い雨が、僕たちの憂いを連れ去ってくれたらいいな。
「ただ1人で腐るんだったら、ここ来て歯食いしばって負けてやんねえぞって思って家帰る。」
春風が吹き抜ける誰もいない公園。
毎年見てる花が、今年はやけに綺麗だと思った。
2人で上を見上げる。
もう少しで満開になる桃色が、視界いっぱいに広がっている。
こんなゆっくりした時間がぽつりと暖かくて。
来年もここで一緒に見たいなって思ったけど、それはどうしても口に出せなかった。