暁天の星


冷蔵庫の中なんて意識しないから必要なものがわからない。



あれが欲しいこれが必要だとスーパーを回る里香に付き合ってる途中で、見慣れた顔を見つけた。




「あ、いた。」



制服姿のハルがこっちに向かってくる。

なんでだ?


気づいたらしい里香もハルに目を向ける。




「ハル?何してんの?」

「鍵持ってねえんだよ。入れねえ。」

「忘れたの〜?」


間延びした里香の返事が気に食わなかったらしい。




「うっせえなあ。」



新学期が始まったばかりで油断しただけだと豪語するハルも加えてレジに進む。



ちょうどよかった。


2人じゃ持てねえもん。





「じゃ、リュウ。支払いお願いね。」




相変わらず金の計算が苦手な里香は、俺に財布を預けてレジに通された商品をハルと持っていった。



袋詰めで騒ぐ2人を横目に支払いを済ませ、それぞれビニール袋を両手に持って帰路に着いた。



「おい、重くね?」

「水とか米とか買ったからな。」

「チャリで来る量だろ。」



ハルが文句言いたくなる気持ちもわかる。


けど袋に分けるときに、里香が持つものには軽いものだけ詰めるのはハルの気遣いなんだよな。




「あたし持つって。」

「いやいい。帰るぞ。」



頑なに里香には持たせようとしないハルの後ろを里香と笑いながら帰った。



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