暁天の星


「まあまだどんな人かも分からないんだからいいじゃない、ね?」



里香がすかさずフォローする。

俺もどんな奴か知らねえけど、ハルはそんな里香に追い打ちをかけるように言った。



「別にいいよ?俺に害がなければ。」

「なにが?」

「そいつのせいで里香の帰りが遅くなった場合、飯作るやついねえじゃん。俺困る。」

「あたし家政婦じゃないんですけど。」



里香がブスッとした顔をする。


ハルの釘の刺し方って妙に独特だから分かりにくいんだよ。




「まあどんな奴だろうと変な男に引っかからなければいいよ。」



晃が上手く仲裁した。


うん、確かに言う通りだな。



「そんな大丈夫だよ、あたし。」

「ならいいけど。つかお前ら今日入学式だったよな?どうだった?」



晃が新たな話題を持ち出したおかげでこれ以上特に触れることもなく全員で夕飯を終えた。







風呂も入り終わって妃那を寝かしつけた後、寝る前に一度戻ったリビングでは晃が炭酸水を飲んでるところだった。



「リュウ?寝ないの?」

「今から寝る。電気ついてたから気になって来ただけ。」

「そっか。」



晃はまだ寝なさそうだから先にあがるか。新聞持ってるし。



「俺行くわ。おやすみ。」

「あ、リュウ。」



不意に引き止められて振り向く。


なんだ?


晃はソファーに広々と座ったまま目線をこちらに向けてきた。




「里香、頼んだよ。」


それだけ言って新聞を広げた晃はもう用が済んだようで意識を目先に落とした。



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