暁天の星
「里香。手のソレなに?」
ガヤガヤしてる食卓の中で不意に晃が里香に問いかけた。
「なにって?」
「それだよ。手の汚ねえやつ。」
手の甲に書かれた連絡先が気になったらしい。
「ああ、なんか連絡くれって言われたの。」
「まじで?里香に?どんな奴?」
ハルも興味が湧いたみたいで身を乗り出す。
こいつからかい半分でニヤニヤしてんだけどさ。
「失礼〜。同じクラスの男の子よ!」
へえ。そうだったんだ。
なんだか聞かずにいたから今知った。
「それってリュウも知ってる奴?」
ハルの素朴な質問にモヤモヤしたまま首を横に振る。
「俺と里香クラス違えから知らねえんだよ。」
「ふーん。そのうち里香が連れ込んだりしてな。」
「は!?あたしはそんなことしません!」
「別に俺はいいと思うよ?な、晃。」
「え〜、わたしはやだな。初対面の女の手に消えないペンで連絡先書いてくる男なんて。」
ああ、だから俺も印象がよくないのか。
「そう?別によくね?積極性がある。」
「それだけ積極的なら誰にでもやってんじゃねえの?」
「それは否定できねえな。」
晃の意見にすぐ納得したらしいハルはチラッと俺を見て意味深に眉をあげた。