プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

それでも、彼が迎えに来てくれたから、私は身を危険にさらさずに済んだ。

思えば、彼がうちに来てから、私に手を差し伸べてくれたのはいつでも祐希だった気がする。
……気がする、じゃない。
実際にそうだった。

どうして今日は、いろんな“今さら”に気づかされるんだろう。
祐希が注文したビールと私のウーロン茶のグラス同士を合わせ、ひとまず「お疲れさまでした」の乾杯で喉を潤した。


「オープンまであと少しだね」

「ですね」

「どんな気分?」

「どうもこうも、まだ完成系じゃありませんから」


それもそうだ。
オープン前夜ならともかく、感慨に耽っている場合じゃない。


「まだ懸案事項もありますし」

「……なにかあったの?」

「オープンイベントが今ひとつ。なにかお客さんに喜んでもらえるようなことをしたいんですけど、いい案がなかなかね」


オープンイベントか。
確か記録によると、通常はノベルティを作ったり、イメージキャラクターの芸能人を呼んだりということをしていたはず。

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