プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「あの男と結婚したかったですか?」

「私のことじゃなくて、祐希だよ。どうしてこんなことを?」


聞き返したのに、しつこくもう一度同じ質問をぶつけられた。

そんなの、したいわけがない。
それは祐希が一番よく知っているくせに。
首を乱暴に横に振った。


「祐希はどうして?」

「どうなっても知らないと、忠告したはずです」


どうなっても知らないって……それはつまり……。

祐希の表情が厳しいものになる。
先生に注意される生徒にでもなった気分だ。


「……祐希、私のこと……?」

「気づかなかったとは言わせません」


強い口調できっぱりと言う。

いや、気づけというほうが無理だ。
キスも、その先も、私の願いを聞き入れてくれただけだと思っていた。
そもそも、涼香さんが恋人だと、つい最近まで思っていたくらいだから。

祐希の言葉の意味が、時間差で心に伝わっていく。
予想もつかなかった展開は、私の胸をはやらせた。

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