プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「ですね。さて、のんびりはしていられません。
「行くって……どこへ?」
祐希は私を見て、困ったように笑った。
「とにかく、少しでもホテルから離れたほうがいいでしょう」
あてがあるわけではないらしい。
行き当たりばったりで私をさらったみたいだ。
いつも冷静な祐希の意外な一面に心が躍る。
私でも祐希を動揺させることができるのだと、ちょっと誇らしかった。
歩き出した祐希の手を握り返す。
行くあてがなくてもいい。
祐希とふたりでいられるならば。
ところが、ものの二十分と歩かないうちに、私の足は限界を迎えていた。
「どうかしましたか?」
速度の落ちた私に祐希が尋ねる。
「足が痛い。ついでに帯も苦しい」
「さすが日菜子さん。深窓の令嬢が聞いてあきれますね」
どうして今、そんなことを言うのか。
祐希の毒舌は、想いが通じ合っても変わらないみたいだ。