プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「……お父さんも清美おばさんも怒っていないの?」
「はい」
雪さんが軽やかに答える。
どうして怒っていないのかがわからない。
清美おばさんの思惑どおりに進むはずだった政略結婚の第一歩を踏み外した。
お父さんの面目もつぶした。
それなのに、どうしてふたりとも怒っていないのか。
「実は……」
雪さんの優しい眼差しが輪をかけてやわらかくなる。
「旦那様は、祐希様と日菜子様が心を通じ合わせることをずっと望んでいらっしゃったんです」
祐希は「まさか」と訝しんだ。
私もそんなことは一度も聞いたことがない。
「これは、祐希様と日菜子様のお耳にはお入れしていないことなのですが、祐希様の亡くなられたお母様と牧瀬の旦那様は、遠い昔、恋人同士でいらっしゃいました」
「祐希のお母さんとうちのお父さんが!?」
祐希とふたり、顔を見合わせた。
お父さんの古い友人じゃなく、元恋人だというの?