プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「ほら、立ってください」

「無理だよ……」


ここから家までどのくらいあるんだろう。
走ることはおろか、歩くことさえままならない。


「自分で自分の限界を決めてはいけません。無理だと言った時点で可能性はゼロになるんですから」


さすが、できる人間は違う。
自分で限界を見極められずに死んでしまったらどうするの、とは言えなかった。


「この端を持ってください」


祐希がおもむろにタオルを私の顔の前に垂らす。

あれ? これって……。
確か、私がプレゼントしたものだ。

身体が動かすことを好きな祐希への誕生日プレゼント。
汗をよく吸い取ると評判のタオルとシャツ二枚をセットにして。

そういえば今着ているものも、そのときにあげたものだ。
今頃気がついた。


「使ってくれてたんだね」


なんのことかすぐに合点がいかなかったのか、一瞬の間のあと祐希は軽く目を泳がせた。

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