プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
強烈なアクシデントに見舞われて


祐希とのジョギングにくっついていくようになって十日が過ぎていった。
今のところ続いているのは自分でも嬉しい。


「おはよう、祐希」

「おはようございます」


ひと足お先にストレッチを始めていた私に、祐希は感心したような表情を浮かべた。
いつもは彼のほうが早いからだ。


「ずいぶんとやる気満々ですね」

「うん、なんかね、仕事を始めて、なんていうのかな、新しい自分に出会えた気分というか、毎日が輝いて感じるというか。とにかくじっとしていられないの」


以前は朝が来ても、朝食の時間ギリギリまでベッドでゴロゴロしていたのに、そうはしていられないのだ。
身体が疼く。

しかも今日は土曜日。
休日なのに。


「まだ仕事と呼べる段階じゃないんですけどね」

「なっ……」


そんな水を差すような言い方はないと思う。
恨めしい顔で祐希を見た。
けれど、その通りだけに言い返すことができない。

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