#恋·恋


――――――――時を遡り15分前。




満島さんの隣でスーツを着た男性二人を静かに見据える。


胡散臭い笑顔を私に向ける茶髪。


『…………』


私は少しの間を置き、軽く頭を下げた。


胡散臭い笑顔……営業スマイルって私も実際やるけど、やっぱり向けられると嫌。


なら笑わない方がいいって思う。



ま、他人の事なんて興味無いけど。





――てか。


茶髪の隣の黒髪、凄い見てくるんだけど。。


無表情でジッと私を見据えている。


『…………何か?』


気になって仕方がないので聞いてみた。


すると、隣の茶髪が少し目を見開いた表情をした。


すぐさっきの胡散臭い表情になったが目は私を探るような目。


あぁ…それがあなたの本当の顔ね。








「!?ちょっひとみちゃん!!」


ビクッ


突然私の名を隣で大きな声で呼んだ満島さんに身体が反応する。


『……はい、なんですか?』


ビックリした。


いきなり大声出さないでほしい。


内心苛つきながらも顔には出さず静かに尋ねた。


てかなんで満島さんがこんなにも顔を真っ青にして慌てているんだろう。


今日初めて会ったけど、こんなに慌てる満島さん初めて見た。




「“オーナー”に失礼だよ!!」


『……?何がですか?』


「何あの娘、“オーナー”にあんな態度とって」


「ね。体験の癖に調子乗ってんじゃないわよ」


と背後でヒソヒソと私に対しての陰口が聞こえる。


その声が耳に届く度、全身の力が抜け一段と私の表情が無になる。


……あーめんどくさ。






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