#恋·恋
「一応ひとみという名前はいないんだけど、んーどうしようね?」
私は特に使いたい名前はない。だけど本名は嫌かな。
「あ、“深月夕”はどう?深い月と書いてゆうは夕日のほうの夕!」
椿さんは私を上から下へと見て考えた後、閃いたように教えてくれた。
“深月 夕”かあ…
『いいですね』
名前を聞いた瞬間、海辺で輝く夜の満月を思い浮かべた。
うん、好きかも。
「よし、じゃあ決まりね!ひとみちゃん、月のイメージがあったからさ。どうしても月を入れたくてね。」
椿さんは綺麗な笑顔でそう言った。
私、月のイメージなんだ。
初めて言われたかも。