#恋·恋




『……ごめんなさい。仕事中に寝てしまった挙げ句ここまでご迷惑をおかけしてしまいました、大変申し訳ありません。。』

頭を下げて謝った。

体験とはいえ、仕事中に寝るなんて最悪だ。

全く働いてないじゃん。

「全然大丈夫だよ、気にしないで。逆にこっちはいいもの見れたから」

??

口元に手をあて口角を上げる彼に首をかしげる。

いいもの…?


「あ、ん"んっこっちの話。……それよりここだと寒いから中に入ろっか。」

軽く咳払いをして先程の楽しそうな顔を消し、私に笑顔で言ってきた。

その言葉に頷き、部屋の中に入ることにした。

「俺ん家じゃないけど適当に座って。今からコーヒー淹れるから。あ、コーヒー飲める?」

『ありがとうございます。でももうお暇します』

キッチンに向かう彼に断りの言葉を言ったが、

「蓮が帰って来るまでいたら?」

と返された。


そうだ、一応ベッド使わせてもらったし、お礼言わないと。

だけど仕事帰りで疲れてるかもしれない。

扉前で立ち尽くして動かない私に魁斗がこちらにやって来た。

「迷惑じゃないよ。もし迷惑ならご飯にも行かないし、家にも連れてこないから」

『…え?』

「ひとみちゃんが初めてなんだよ。この家に入った女性は、」

『……?』

言葉の意味が分からず、首を傾げた。

「蓮、ひとみちゃんのこと気に入ったんだよ」

あっさりとだけど嬉しそうにそう放った。



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