まさか…結婚サギ?
由梨は翌日、麻里絵と二人で買い物に出掛けた。
この日は紺野家のお抱えらしい運転手つきの車で向かい、百貨店にたどり着く。
VIPにはVIPの買い物の仕方があるとはうすうす気づいていたが、麻里絵と共に通された部屋には若い女性向けの服からバッグからアクセサリーからずらりと並べられていた。
「紺野様、お待ちしておりました」
物腰の優雅な男性がお辞儀をする。
「いつもありがとう。結城さん」
「本日は、お嬢様向けのものとお伺いしておりましてこのように揃えさせて頂きました」
「由梨ちゃんはすぐに遠慮しそうだから…、本田さん、コーディネイトお願いできる?」
「はい、お嬢様はお色も白くて可愛らしい雰囲気ですから」
と、次々と合わせて行く。
「あら、それ似合ってるわ」
と麻里絵が言うと、それに合わせた服飾品から靴とアクセサリーも合わせてしまう。
普段用と、パーティドレスもあり(家でディナーをするのに着るのかな)と由梨は見ていたが…。
「じゃあ、よろしくね」
「お任せ下さいませ」
と品物は持たずに案内されてまたすたすたと移動する。
買ったのではないのと、ホッとしそうになるがそんなわけもなく。
「お車にお届けしておきます」
と結城さんがにこやかに言ったので、やはりあれらは購入されたのだと悟る。
(そうか…支払いもその時じゃないのか…)
「時間はちょうど良いわね」
と麻里絵はスマホを出して、電話をかける。
そして、百貨店の前に出ると、高級国産のセダンが前に停まった。
「椿ちゃん、ありがとう。今日はよろしくね」
運転席にいたのは、由梨が写真だけで知っている椿だった。
(噂の…椿さん…すごい美女)
「お任せ下さい」
声は少しハスキーな色っぽい声。
助手席にはちょこんと、男性が乗っていた。
「さ、乗ってください。ちょっと、蒼空(そら)さっさと降りてドアを開けなさいよ、気が利かないわね」
「あ、そ、そうでした」
わたわたと蒼空と呼ばれた彼はドアをあけて麻里絵と由梨を後部座席に乗せた。
「由梨ちゃんよね?私が佐塚 椿。貴哉と結婚するって言ってたのは、単に他の縁談を舞い込ませないようによ。そんなの面倒だからね。貴哉も、私と同じだと思ってたし」
いきなりの説明に由梨が戸惑っていると
「用はね、貴哉が由梨ちゃんと結婚したいらしいから、きっちり由梨ちゃんに納得させてくれって。納得した?したよね?」
「あ、は、はい」
「よろしい、由梨ちゃんはなかなかよろしい。あいつには勿体無い」
由梨は驚きつつ、きびきびという椿に気圧されつつも納得し…もとい、させられた。
「蒼空、麻里絵さんと由梨ちゃんにさっさと渡す」
「こちらが今からご案内する間取りです」
男性にしては少し線の細い、可愛らしい雰囲気のある人である。
「あ、ちなみにこれが私の彼氏ね。だからほんとよ、さっきの話」
椿がそう付け足した。それにも、わりと驚いたが、椿の雰囲気が怖くて何も言えない。
渡されたのは、家の間取りである。
「蒼空、説明」
「はい、え。まず一枚目は4LDKのマンションです。セキュリティがしっかりしてますので防犯とプライベート空間がしっかり守られます。ペットも大丈夫です。住人には上流の人が多く…」
と、一個ずつウリを説明していく。
由梨はそれを聞きつつ、一件目の間取りのマンションに着いた。
タワーでもなく、堅実な造りの高級マンションだ。
広いリビングと、最上階の窓からの眺めがとても良い。
寝室と、書斎。それから部屋が3つ。
「すごいですね…」
「気に入った?由梨ちゃん」
「私、ですか?」
「女性ならキッチンも重要よね」
スッキリとしたキッチンには由梨はうっとりとした。
この日は紺野家のお抱えらしい運転手つきの車で向かい、百貨店にたどり着く。
VIPにはVIPの買い物の仕方があるとはうすうす気づいていたが、麻里絵と共に通された部屋には若い女性向けの服からバッグからアクセサリーからずらりと並べられていた。
「紺野様、お待ちしておりました」
物腰の優雅な男性がお辞儀をする。
「いつもありがとう。結城さん」
「本日は、お嬢様向けのものとお伺いしておりましてこのように揃えさせて頂きました」
「由梨ちゃんはすぐに遠慮しそうだから…、本田さん、コーディネイトお願いできる?」
「はい、お嬢様はお色も白くて可愛らしい雰囲気ですから」
と、次々と合わせて行く。
「あら、それ似合ってるわ」
と麻里絵が言うと、それに合わせた服飾品から靴とアクセサリーも合わせてしまう。
普段用と、パーティドレスもあり(家でディナーをするのに着るのかな)と由梨は見ていたが…。
「じゃあ、よろしくね」
「お任せ下さいませ」
と品物は持たずに案内されてまたすたすたと移動する。
買ったのではないのと、ホッとしそうになるがそんなわけもなく。
「お車にお届けしておきます」
と結城さんがにこやかに言ったので、やはりあれらは購入されたのだと悟る。
(そうか…支払いもその時じゃないのか…)
「時間はちょうど良いわね」
と麻里絵はスマホを出して、電話をかける。
そして、百貨店の前に出ると、高級国産のセダンが前に停まった。
「椿ちゃん、ありがとう。今日はよろしくね」
運転席にいたのは、由梨が写真だけで知っている椿だった。
(噂の…椿さん…すごい美女)
「お任せ下さい」
声は少しハスキーな色っぽい声。
助手席にはちょこんと、男性が乗っていた。
「さ、乗ってください。ちょっと、蒼空(そら)さっさと降りてドアを開けなさいよ、気が利かないわね」
「あ、そ、そうでした」
わたわたと蒼空と呼ばれた彼はドアをあけて麻里絵と由梨を後部座席に乗せた。
「由梨ちゃんよね?私が佐塚 椿。貴哉と結婚するって言ってたのは、単に他の縁談を舞い込ませないようによ。そんなの面倒だからね。貴哉も、私と同じだと思ってたし」
いきなりの説明に由梨が戸惑っていると
「用はね、貴哉が由梨ちゃんと結婚したいらしいから、きっちり由梨ちゃんに納得させてくれって。納得した?したよね?」
「あ、は、はい」
「よろしい、由梨ちゃんはなかなかよろしい。あいつには勿体無い」
由梨は驚きつつ、きびきびという椿に気圧されつつも納得し…もとい、させられた。
「蒼空、麻里絵さんと由梨ちゃんにさっさと渡す」
「こちらが今からご案内する間取りです」
男性にしては少し線の細い、可愛らしい雰囲気のある人である。
「あ、ちなみにこれが私の彼氏ね。だからほんとよ、さっきの話」
椿がそう付け足した。それにも、わりと驚いたが、椿の雰囲気が怖くて何も言えない。
渡されたのは、家の間取りである。
「蒼空、説明」
「はい、え。まず一枚目は4LDKのマンションです。セキュリティがしっかりしてますので防犯とプライベート空間がしっかり守られます。ペットも大丈夫です。住人には上流の人が多く…」
と、一個ずつウリを説明していく。
由梨はそれを聞きつつ、一件目の間取りのマンションに着いた。
タワーでもなく、堅実な造りの高級マンションだ。
広いリビングと、最上階の窓からの眺めがとても良い。
寝室と、書斎。それから部屋が3つ。
「すごいですね…」
「気に入った?由梨ちゃん」
「私、ですか?」
「女性ならキッチンも重要よね」
スッキリとしたキッチンには由梨はうっとりとした。