宝物な君と
「ママ、おはよう。」

『おはよう。早く食べないと遅れちゃうよ。』

「はぁい。いただきまーす!」

可愛いっ!

思わず抱きしめると。

「ママぁ、苦しい~!」

そう言いながら、ニコニコ顔の息子、藤沢七世(ふじさわななせ)4歳。

私、藤沢紅(ふじさわべに)の大事な一人息子です。

『ごめんねー。さっ、早く食べてパパにご挨拶して、保育園いこっか?』

「うんっ!」

元気いっぱいのお返事頂きました!

私と七くんは二人きりの家族です。

七くんのパパの弓弦(ゆづる)くんは3年前に事故で亡くなった。

七くんはまだ1歳だった。

3年たった今でも、私は弓弦くんが大好きだ。

亡くなった時は絶望して落ち込んだけれど、私には七くんがいたから。

私達の宝物を守ることに、迷いなんてなかった。

それからは無我夢中。



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