宝物な君と
ううっ。

顔上げれない。

と、そこにポケットのケータイが鳴り出す。

音を消してるから、振動で気がついたんだけど。

画面を見てみると、のの姉?

「すみません。姉から電話なので失礼しますね。」

そう言いつつ、裏に入りながらスマホをタップすると。

「紅~!家出して来ちゃった。泊めて~。駅まで迎えに来てよ。Luciaまで道覚えてない!」

方向音痴ののの姉が家出…。

よく駅まで来れたな。

『またがっくんとケンカ?』

旦那さんが楽(がく)くんといって、私達の幼なじみ。

埜々姉は私の2個上で30歳、子供が七くんの1個上の女の子で、理々(りり)。

「あんなやつ、もう知らないわよ!」

ご立腹です。

『とりあえず、駅で待ってて~。すぐ行くから。』

そのまま切って、葉ちゃんと彗ちゃんのところに行く。

『のの姉がまた家出してきた。駅までお迎えに行ってくるね。』

「はーい。いってらっしゃい!」

二人も慣れたもの。
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