私の存在価値

新たな世界へ

〈客観的side〉

サラサラと心地の良い風が吹き、草花を揺らしている。
季節は流れ冬も終わり、生き物達は春への身支度を整えていく。
桜の木々には蕾が今にも咲弾けんばかりについている。
もう少ししたら花見客で賑わうであろう。


そんな桜並木から少し離れたところには墓地が広がっている。

普段は人気の少ないが、今日はいくつかの人影が見えた。

ひとつの墓地を数人の男たちが囲んでいた。
皆顔には涙を浮かべて。

彼らの中でも一際整った顔付きをした黒髪の彼は静かに墓の前で片膝をつき、

｢お二人共……夢音の事本当にすいませんでした。｣

と言った。
その声は静かな墓地全体に広がった。