August Rush
春の雨は嫌いじゃない
前後ろから2番目
勉強しなくても入れる偏差値
それなりに制服が可愛い
校則が厳しくない
そんな条件で選んだ学校だった。
ピンク色で満開になった校庭と
校門の前の大きな文字の隣で
肩を並べて写真を撮る親子
1ヶ月前よりも10センチは短いスカート
少し大人になった気分…。
「柳瀬さんは、5組ですね。」
体育館前で名札を渡された。
入ると組み分けされてて
名前の順に座るようになってた。
「や行」だから席は後ろだった。
私の席の隣に、1人座ってる。
ふわふわショートのスレンダーな子。
「あ、よろしくね。かう?ちゃん?」
「よろしくね。変な名前でしょ。華羽でいいよ。」
「私は遥。四ツ倉遥。変な苗字でしょ。遥って呼んで〜。」
ふにゃんって効果音の笑顔で
遥は言った。
入学式は印象に残らない程
ありきたりだった。