嘘つき天使へ、愛をこめて
タッと歩き出しながら、頬に触れる空気が冷たくて身体を震わせた。
雪なんて降っていないのに、まるで吹雪に揉まれているように寒い。
きっと体温が低いんだろう。
あたしの体の防寒機能はもう消えつつあるから、こうして身を包むもので対策をするしかない。
このローブは、そんなあたしにあの人がくれたものだ。
風も防げるし、防水機能もあるので雨が降ったらレインコート代わりにもなる。
ただ機能が良い代わりに可愛さには欠けるので、申し訳程度にローブの裾に白でレースの刺繍を入れたりしてみた。
あの人にもらってからずっと大切に着ているから、実はもう結構ぼろぼろで、何度もほつれたところを縫い直しながら着ている。
このローブも含め、あの人があたしにくれたものは全てが大切な宝物。
あの人はあたしが世界でたった一人敬愛する人だから。
ビルの狭間を出て、錆びて柄がわからなくなっているマンホールを踏んだ時、なんとなく自分を踏んでいるような気になって、意味もなく笑ってしまった。