嘘つき天使へ、愛をこめて
「……咲妃に、会ったのか」
「分からない。でも、なんとなくママの気持ちはわかるの。ママはね……きっと最後まで大翔のことを好きだったけど、だからこそ幸せになってほしかったんだよ」
「幸せ……?」
「うん。……今、大翔が愛美さんと人生を歩いてること、きっとママはどこかで見てる。良かったって思いながら、見守ってくれてるよ」
サリは頭が痛むのか、顔を歪めるとこほんこほんと咳をした。
慌てて大翔さんがナースコールを押す。
「……ねえ」
サリと目が合った。
俺に言っているのか計りかねて応えられずにいると、サリは笑った。
「雅、固まらないでよ」
「っ……!」
覚えて、たのか。
俺は脱力するように、その場にしゃがみこみそうになりながら、ベッドへ腰を下ろす。
サリの細い手を握ると、柔く握り返してくれた。
「……心配したんだけど、俺」
「ごめん」
「ほんと、もう、どんだけ倒れたら気が済むんだよ。心臓がいくつあっても足りない」
「雅はいつもそばにいるもんね」
そして受け止めてくれる、とサリは優しく目を細めて、息を吐いた。