嘘つき天使へ、愛をこめて


「……咲妃に、会ったのか」

「分からない。でも、なんとなくママの気持ちはわかるの。ママはね……きっと最後まで大翔のことを好きだったけど、だからこそ幸せになってほしかったんだよ」

「幸せ……?」

「うん。……今、大翔が愛美さんと人生を歩いてること、きっとママはどこかで見てる。良かったって思いながら、見守ってくれてるよ」


サリは頭が痛むのか、顔を歪めるとこほんこほんと咳をした。

慌てて大翔さんがナースコールを押す。


「……ねえ」


サリと目が合った。

俺に言っているのか計りかねて応えられずにいると、サリは笑った。


「雅、固まらないでよ」

「っ……!」


覚えて、たのか。

俺は脱力するように、その場にしゃがみこみそうになりながら、ベッドへ腰を下ろす。


サリの細い手を握ると、柔く握り返してくれた。


「……心配したんだけど、俺」

「ごめん」

「ほんと、もう、どんだけ倒れたら気が済むんだよ。心臓がいくつあっても足りない」

「雅はいつもそばにいるもんね」


そして受け止めてくれる、とサリは優しく目を細めて、息を吐いた。
< 193 / 225 >

この作品をシェア

pagetop