嘘つき天使へ、愛をこめて


「ねえ、れいたん。俺フラレたんだけど」

「……仕方、ないんじゃない。きっと俺も……フラれるから、大丈夫……」

「そうかな。告白してみたら、れいたん」

「確率の低いことを……俺は、やらない」


そんな唯織の前の席。

抹茶のような緑色の髪をしている史上最高に眠そうな男子と、ばちり、目が合った。


ていうか、なにその髪色。

その吸い込まれそうな黒い瞳に捉えられ、あたしは一瞬たじろいでしまう。


「……唯織は、バカだから」

「……ば、バカ……」


そう言うがいなか、れいたんと呼ばれた男は首がこくんこくんさせて、そのまま机に突っ伏すとすっと瞼を閉じた。


ね、寝ちゃったの?

なんてマイペースな人だ。


その寝顔は唯織同様の端麗さで、その独特な雰囲気も合わさってかとても目を惹く。


綺麗な顔してるな、なんて思いながらその寝顔を見つめていると、唯織にくいくいっと服を引っ張られた。


仕方なく、彼の方へと顔を向ける。
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