嘘つき天使へ、愛をこめて
繋がれている手を、ちらりと見る。
あたしの小さい手を包み込む雅の手は大きくて、なぜか自分の存在の薄さを感じた。
「そーいや、昨日のパトロールは誰が担当だったんだ?」
「太一と耀太だよ。今日はまだ報告受けてないけど」
「最近は治安がなあ。もっと安定すればいいんだが」
「今は良い方だろう。週ごとの事件数も減少傾向にある」
「……喧嘩とか、面倒……だし、どうでもいい」
「スイッチ入ったら一番荒れるのはれいたんだけどねぇ」
後ろを歩く幹部たち4人が何やら楽しそうにじゃれている。
話している内容を除けば、その様子はどこからどう見ても普通の高校生にしか見えない。
「仲、良いんだね」
「……ま、四六時中一緒にいるしね。うちの組のメンバーは比較的仲もいいし、家族的な存在なんだよ。総長も幹部も下っ端も、一人の人間だってことには変わりはないから」
割と真剣に返してくれた雅に、小さく「……ふうん」と返事をして瞼を伏せる。