嘘つき天使へ、愛をこめて
「そう。結局見た目は見た目。どんなに良い顔してても、性格が最悪な奴は最悪なのよ。……あたしみたいにね」
自嘲の笑みを浮かべてそう言えば、なにがそんなに不思議なのかキョトンとする幹部メンバー。
その中でやはり雅だけは面白そうに目を細めて、こちらを見ていた。
……ホント、何を考えてるのか分かんない。
この不気味な感じは、悪魔というより小悪魔って方がしっくり来る気がする。
「じゃあ行こうか、サリ」
「何かあったら守ってよ、総長さん。……あたし暴力とか喧嘩とか嫌いだから」
「……ふーん?まあ、俺といる時は安心して良いんじゃない。誰も手なんか出さないだろうし」
そりゃ、そうでしょうね。
さらりと言い放った雅に、一瞬真っ黒で底知れぬ闇を感じて息を呑んだ。
族の頭ともなれば、幹部といえど逆らえない。
……下っ端なんて頭も上げられないかもね。
族に入っていない昨日のあの人達だって、あんなに怯えるくらいなんだから、きっと相当強いんだろうな。
出来ることなら敵にはしたくないタイプだ。