(A) of Hearts
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「申し訳ございません」
調子が狂う。
どうにも乱される。
俺が語りすぎているせいなのか?
「あのさ、館野さん」
「……はい」
「女の涙は卑怯。泣けばいいってもんじゃないよ」
「わ、わかっています」
「最低だよね」
目に入った睫毛や、歯に挟まったもやしと変わらない邪魔な存在であるには違いない。
「善良なフリをしないでね」
「しておりません」
「そうは見えないけど?」
彼女に語ったことは事実ではある。
しかし、そこまで語る必要があったかと問われれば、答えることができない自身に苛立ってしまう。
このままでは、俺が母方の祖父母である性を名乗ることになってしまっている理由までも口にしてしまいそうだ。
これ以上、何かを問われるのも癪だな。
なんとかして、ここは自分のペースに持って行かなければ。
「マネキンとやってるみたいだ。抵抗するか、受けるのか、どっちかにしてくれないかな?」
唇を重ねてみた。
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