テンポラリーラブ物語
なゆみは携帯電話を持っていないので、好きなときにいつでもどこでも相手に電話をすることなどできない。
掛ける時はいつも自分の部屋からだった。
呼び出し音が鳴る間、棚の上のキティちゃんのぬいぐるみを祈る思いで見ていた。
「もしもし」
受話器からジンジャの声が聞こえた。
「あっ、ジンジャ……」
「タフクか。なんだよ」
どこかよそよそしく、機嫌が悪そうだった。
「あのさ、その」
何をどういえばいいのかわからない。
それでも何かを伝えようと必死になればなるほど、意味を成さない言葉の音だけが何度も繰り返される。
「用がないんだったら、切るぞ。俺、今日疲れてるんだ」
「ご、ごめん。今度会ったときに話す」
「結局は用があるんじゃないか。それなら今話せばいいだろ。そのために電話してきたんじゃないのか」
ジンジャがなんか冷たい。
「だって、ジンジャ疲れてるし、それに怒ってるみたいだし」
「怒ってなんてないよ」
「でも、なんかいつもと違うから」
「あのさ、タフク。お前が今考えることは留学のことだろ。それに集中しろよ。俺も就職活動に忙しいんだよ」
「そうだったね。ごめんね。別にこれといって用はなかった。ついちょっと話したかっただけなんだ。それじゃまたね」
「ああ、そうだな。それじゃな」
お互いの関係がねじれたまま電話が切れた。
あまりにもあっけなかった。
ジンジャとこうなってしまったのも、自業自得だった。
ぽっかりと穴が開いたように悲しいながらも、これでよかったのかもしれない──。
なゆみはそう思い込もうとしていた。
距離を置いた方が、諦めもついてきっと吹っ切れる。
全ては自分で蒔いた種ならば、これまた全て自分で何もかも解決するしかない。
色々と背負い込み、なゆみは極限まで追い込まれていってしまうのだった。
掛ける時はいつも自分の部屋からだった。
呼び出し音が鳴る間、棚の上のキティちゃんのぬいぐるみを祈る思いで見ていた。
「もしもし」
受話器からジンジャの声が聞こえた。
「あっ、ジンジャ……」
「タフクか。なんだよ」
どこかよそよそしく、機嫌が悪そうだった。
「あのさ、その」
何をどういえばいいのかわからない。
それでも何かを伝えようと必死になればなるほど、意味を成さない言葉の音だけが何度も繰り返される。
「用がないんだったら、切るぞ。俺、今日疲れてるんだ」
「ご、ごめん。今度会ったときに話す」
「結局は用があるんじゃないか。それなら今話せばいいだろ。そのために電話してきたんじゃないのか」
ジンジャがなんか冷たい。
「だって、ジンジャ疲れてるし、それに怒ってるみたいだし」
「怒ってなんてないよ」
「でも、なんかいつもと違うから」
「あのさ、タフク。お前が今考えることは留学のことだろ。それに集中しろよ。俺も就職活動に忙しいんだよ」
「そうだったね。ごめんね。別にこれといって用はなかった。ついちょっと話したかっただけなんだ。それじゃまたね」
「ああ、そうだな。それじゃな」
お互いの関係がねじれたまま電話が切れた。
あまりにもあっけなかった。
ジンジャとこうなってしまったのも、自業自得だった。
ぽっかりと穴が開いたように悲しいながらも、これでよかったのかもしれない──。
なゆみはそう思い込もうとしていた。
距離を置いた方が、諦めもついてきっと吹っ切れる。
全ては自分で蒔いた種ならば、これまた全て自分で何もかも解決するしかない。
色々と背負い込み、なゆみは極限まで追い込まれていってしまうのだった。