別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
告白
私、中瀬理沙(ナカセ リサ)の趣味は本を読むこと。

週に二回は図書館に通っている。

冷暖房完備、割とプライベートが確保された席。
豊富な蔵書で、どんなジャンルもより取り見取り、しかも無料だから本当に助かる。

そんなお気に入りの場所で、私は大好きな彼と出会い恋に落ちた。


彼——小林奏人(コバヤシ カナト)は、私より二つ年上の二十八才。
優しい笑顔が素敵な、一緒に居て心地よい人。

ただ、私の友達からの評価はイマイチ。

分厚い眼鏡と、ダボッとした服装のせいか「もうちょっと外見をなんとかしたら」なんて言われてしまう。

でも、それは奏人を良く見ていないから。

奏人は一見地味だけど、実は素材はかなり良いのだ。

小さな顔にバランス良く収まった、アーモンド型の綺麗な二重の目。スッキリ通った鼻筋、薄い唇。

ファッションや、ヘアスタイルなんかをおしゃれにしたら、大分雰囲気が変わると思う。

友達も認めざるを得ないイケメンに変身しそう……なんて事を時々考えはするけれど、実際に変わって欲しいとは思ってない。

私は今のままの奏人が好き。

穏やかで思いやりがあって、他人にも親切で、切ない本を読めば涙を零す。

そんな心の綺麗な奏人と、いつまでも一緒にいたいと願っている。


だから、付き合って一年の記念日に彼からプロポーズされた時は、幸せで嬉し涙が止まらなかった。



それなのに——

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