別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
だけど奏人はサラリと言う。

「問題ないだろ? いずれ結婚するんだし」

「え……」

「俺プロポーズしただろ? 忘れちゃったわけ?」

「わ、忘れてないよ。ただあの後いろいろ有ったから……」

そっか、よりを戻したからあの時のプロポーズは有効になるのか。

プロポーズの直ぐ後に別れたから、あまり実感がなくて、具体的なことは何ひとつ考えていなかった。

今は奏人と同じ職場になっているし、結婚したら仕事はどうするんだろう。

話し合うことは多そうだ。

だけど、今は素直に嬉しい。奏人の未来を考えると希望が膨らむ。

「今度、婚約指輪を買いに行こう」

「……うん」

こんなに幸せでいいのかな。

奏人はその後、家賃を気にする様子もなく、自分の名義で賃貸契約を結んだ。

来月頭からの入居になるそう。

まだ半月以上はあるけど、新居の準備には時間ぎ足りないくらいだ。

あっと言う間に同棲の準備が進んで行くことに戸惑いながらも、新しい生活が楽しみで仕方なかった。
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