別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「ヤキモチ焼きすぎじゃない? 一緒に住むんだし仕事くらい別々の方がいいと思うんだけどね、常に一緒じゃ息が詰まりそう」

「そうかな……」

私は今のところ、奏人と居て息が詰まるなんてことはないけど。

最近は一緒の布団で寝ることが多いから、たまの独り寝が寂しいくらい。

でもそんなことを言ったら、からかわれてしまいそうなので、黙っておく。

「やっぱり、会社に婚約の報告をして、私が異動するのがスムーズなのかな」

私の言葉に梓が頷く。

「奏人君は、立場的にも異動はないでしょ。どう考えても理沙が異動だね」

「そうだよね」

ちょっと寂しいけど、仕方無いか。

「もう、暗い顔しないの。贅沢な悩みなんだからね」

「うん」

「婚約報告したら、かなりの騒ぎになると思うよ。しっかりね」

「そうだね……特に松島さんの反応が恐いわ」


以前に、奏人とは何も無いって言ってしまった事があるから、その辺の文句も言われそう。

「しばらくはブツブツ言われるかもしれないけど仕方無いよ。私もフォローするから頑張るんだよ」

「うん、ありがと」

それからお酒を何杯かお代わりをして、後半は梓の仕事の愚痴を聞いた。

口が達者な梓の愚痴は聞いてる分には痛快で、時間があっと言う間に過ぎて行く。

閉店間際に奏人が迎えに来てくれるまで、ふたりの飲み会は続いた。

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