別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
事件
二日酔いで迎えた朝。

シャワーを浴びてもだるさがとれない私の様子を見て、奏人が心配そうに眉を寄せる。

「大丈夫か?」

「……駄目かも」

「飲みすぎだな」

私がだるいのは、お酒だけのせいじゃない。

奏人が、なかなか寝かせてくれなかったのも原因なのに。

私の恨みがましい視線で察したのか、奏人が気まずそうにしながら言う。

「今日は休むか?」

一瞬、心が揺れたけど、私は首を横にふり重い身体を動かし身支度を始める。

社会人が二日酔いで休むなんて許されない。
貴重な有給は、二日酔いなんかで使わない。

入社以来のポリシーのもと、根性で支度をする。

同じ睡眠時間のはずの奏人は、今朝も爽やかでイケメンだ。

疲れなんて微塵も見せずに、コーヒーを入れている。

この違いなんだろう。

私も奏人くらい体力があったらいいのに。
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