別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「北条君、この騒ぎは君が原因のようだが、どう責任を取るつもりだ?」

いきなり攻撃的な追及が始まった。

私は不快感でいっぱいにながら、滝島課長を見る。

眼鏡の奥の神経質そうな目が、奏人を忌々しそうに睨んでいた。
奏人は深々頭を下げる。

「二度とこのようなことが起きないように、この場で決着をつけます」

奏人の言葉に、滝島課長は嘲笑して言った。

「それで済むと思ってるのか? 私としてはこの件は社長にまで話を上げ、北条君はしかるべき処分を受けるべきだと思うが」

何が何でも奏人に罰を与えたいようだ。

朝美さんのことなんてどうでもよくて、ただ奏人を不利な状況に追い込みたいだけなように見えてしまう。

だとしたら、なんて性格が悪いんだろう。
人の弱みに付け込むような真似をするなんて、嫌悪感が湧いてくる。

その思いが顔に出てしまったようで、滝島課長に見咎められた

「随分と不満そうだが、君も問題の当事者である自覚がないのか?」

え、私?

突然言われて慌ててしまう。
それでなくても、ただのOLの私が、課長から睨まれるのはキツイ。怯んでしまう。

びくりと肩を震わしたとき、奏人が先ほどより大きな声を出した。

< 159 / 208 >

この作品をシェア

pagetop