別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「綺麗事言わないでよ!」

興奮した朝美さんが、私に迫って来る。

また掴みかかられるのかと身構えたとき、奏人の手が伸びて来て、朝美さんを拘束した。

「いい加減にしろ」

「は、離して!」

奏人は暴れる朝美さんを片手で軽々と押さえ、もう片方の手でスマホを操りどこかに電話をする。

ひと言ふた事短い会話をすると電話を切った。

「どこにかけたのよ」

「警備を呼んだ」


朝美さんが奏人を睨み、奏人は淡々と答える。


「な、なんで」

「これ以上暴れられたら迷惑だからだ」

朝美さんは、往生際悪くばたばたと暴れている。まさに地獄絵図。

同年代の女性が、ここまで喚くのを見るのは初めてだ。

突っ立ったまま何も出来ずにいると、奏人に呼ばれた警備員がやって来て、朝美さんを連れ出した。
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