別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
予定より早く社長との面談が終わった為、私達はワンフロア下のカフェスペースで、休憩を兼ねた打ち合わせをすることにした。
「大変なことになったね……奏人、大丈夫?」
「ああ、俺に役職はまだ早いと思うけど滝島さんを部長にしたらいろいろと支障が出て来る。なんとか認められるような成果を出さないとな」
「ねえ……前から不思議だったんだけど、滝島課長ってどうして社長に目をかけられてるの? 親戚ってわけでもないのに」
実の甥であり、養子にまでなった奏人と同列の扱いは不自然に思えるんだけど。
「言ってなかったか? 滝島課長は役員の娘と結婚したんだけど、その役員ってのが社長の従兄弟なんだ。一応親戚ってわけ」
「そうなの? 知らなかった」
「社長は滝島課長をそこまで買ってないけど、役員の一部が支持しているから、滝島課長を無視することも出来ないんだ」
「そうなんだ……」
そういった事情なら、滝島課長が優遇されてるのも仕方ない。
でも、あの人が部長になったら、私も奏人も凄く働き辛くなりそうだ。
「奏人には無理して欲しくないけど、滝島課長が部長になったところを想像すると、憂鬱になる」
「だよな。多分俺は別部署に飛ばされるな」
「私も……松島さんも危険だね」
朝美さん事件以来、私達三人はかなり恨まれているらしく、なにかと冷たい視線をぶつけられている。
滝島課長にとって、私達は目の上のタンコブのような存在なんだと思う。