別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「それで、その【小林製作所】と奏人はどんな関係なの?」

「母親の実家。小林製作所の社長は俺の祖父」

奏人はもう諦めたのか、私の質問にスラスラ答える。

「……適当な偽名じゃ無かったんだ」

私は小声で呟いた。

騙されていた事に変わりは無いけど、奏人が名乗ったのが彼の真実関わりがあることだと知って、ホッとしたような気持ちになったのだ。

「信じられないかもしれないけど、理沙を騙す気じゃなかったんだ。たださくら堂の社長の関係者だと気付かれたくなかっただけ。だから咄嗟に使い慣れた小林って名乗った……俺、社長と養子縁組をして北条性になったけど、以前は小林だったから」

「え……養子って?」

奏人は社長の本当の息子じゃないの?

「俺は社長の弟の子」

「じゃあ、社長の甥ってこと? でもどうして養子になんてなったの?」

次々に出てくる知らなかった事実に、驚きを隠せない。

「理沙……」

戸惑う私を見つめていた奏人が、何か言いかけてから立ち止まった。

「どうしたの?」

「もう会社に着くから質問には後で答える。今夜会えるか?」

「えっ……うん、特に予定はないけど」

「終わる時間スレッドに書いておいて……それから誤解しないで欲しいんだけど、家の事とか隠そうとした訳じゃなくて、ただ詳しく話す時間が無かっただけだから。理沙が時間を作ってくれるなら何でも話す」
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