ポイントカードはお持ちですか?

「あれ?今日いつもよりメイク濃くない?」

「さすが、目ざとい!今日誕生日なんです」

「もしかして30?」

「さすが、ご名答!」

「今夜はデートなの?」

「さすが、大不正解です!」


デート・・・男の人と二人で食事っていつ以来だっけ?

遠い目をしかけて、ものすごく近いところに視線を引き戻す。
あ、おととい課長と出先でランチ(ラーメン)食べたんだった。

プライベートで男性と二人・・・あ、先月市のイベントの手伝いが終わった後、伊月君と屋台のやきそば食べて帰ったっけ。
あれは仕事が終わっていたから一応プライベートだ。

課長はともかく伊月君は若い男子だし、なーんだ、私の生活結構潤ってる!


「しっかりメイクしてるのに、何の予定もないの?」

「何の予定もないから、メイクくらいしか浮かれる場所がなかったんです」

なーんだ、やっぱり私の生活パリッパリに乾燥してた!
松平定信も泣いて逃げ出す大飢饉じゃないの。

「これくらいしかないけど」

奈美さんがポケットからキャンディーを2個取り出して手に乗せてくれた。
ひからびた大地にわずかな水がしみる。

「ありがとうございます。お気持ちは本当に嬉しいです」

例えこのキャンディーがパチンコの景品だとしても、気持ちはありがたい。
ちゃんと誕生日プレゼントももらえた!

< 3 / 143 >

この作品をシェア

pagetop