リリカになれたら
家に帰って自分の部屋で勉強していると、リリカが帰って来た様子だった。
きゃっきゃっというリリカの笑い声と、男の子の喋り声がしたので、もしかして・・・と思い、こっそりカーテンの隙間から外を覗いてみる。

やっぱり、リリカと、黄金川先輩・・・。
門の前に立って、楽しそうに話してる。
先輩が、他の子には見せない優しい笑顔。
ただでさえ格好良い顔が、心から笑うとあんなに・・・たまらなく可愛くなるなんて。
先輩をあんな顔にさせられるのはリリカだけ。
リリカは柔らかそうな細い髪を耳にかけながら楽しそうに笑っている。
しぐさも笑い方も、女の子らしくてリリカは本当に本当に可愛い。
あの先輩のたまらない笑顔を間近で受け止めて、どんな気分だろう。
ドキドキしているかな。
それとも、慣れてしまってリリカは平気なんだろうか。
そんな事を思いながら眺めていると、黄金川先輩は優しく笑いながらリリカの頭を愛おしそうに撫でた。
そして、一瞬だけの、キス。

見てはいけない物を見てしまった気分になり、慌てて目をそらす。
勉強机に戻って手で顔を覆った。

気持ちが、ずぅーんと、重くなってくる。
プルプルと首を横に振って、気合いを入れる。
落ち込むのなんて辞めよう。
だって今日は、初めてやす君と電話する日なんだから。
スマホを取り出して、やす君のメッセージを読み返す。
大好きなやす君。
どんな声をしてるんだろう。
考えるだけで、幸せな気持ちが身体中に染み渡って行った。



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