縁側で恋を始めましょう


暁の所在にホッとしつつも、私には連絡ひとつよこしてくれないんだなと泣きたくなった。

一緒に暮らしていたのに、私には連絡すらしたくないのかもしれない。
暁はもう、私が嫌いなのだろうか。
いつまでも弟扱いするような女に見切りをつけたのかもしれない。
後悔と切なさでため息が止まらないのだ。

「まぁ、飲みなよ。飲んで忘れて、次の恋をしよう。意外と近くに転がっているかもしれないでしょう」
「う~」

勧められるがままビールを口に含むが美味しくなかった。
あぁ、暁と二人で縁側で飲むビールは美味しかったな。
他愛もない話をしながら空を見上げて、笑いながら暁と過ごしたあの時間は、今思えば特別な時間だったんだ。


でもそれも、もう終わりなのだろう。


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