縁側で恋を始めましょう
「あ、わかった……」
「じゃぁ」
言うだけ言って暁は出かけていく。
夜までいないことなんて珍しい。というか、この家に来てからは初めてではないだろうか。
しかも、あんな格好でどこへ行くというのだろう。
仕事ってことは小説の関係? 接待とか、出版社の人と会うとか?
そう言った世界のことはわからない。
「出かけるなら前もって言ってくれてもいいのに」
何となく拗ねたような気持ちのまま、残りのサンドイッチをほおばった。