縁側で恋を始めましょう


「そんなところで寝ると風邪ひくよ」

身体を揺り起こそうと近づくと暁からフワッとお酒の香りがした。

「飲んでいるの?」
「ん? あぁ、仕事で付き合い程度にね」
「仕事って、小説の?」
「んー」

眠いのか質問に生返事で返ってくる。疲れが見えるその顔は目をつむっていても端正だ。
鼻筋も通っているし、肌もきれい。でもどことなく男らしい色気も見えて、胸がきゅとなる。
なんだこの気持ちは。

「ほら、部屋に行こう」

胸の締め付けを無視して、暁の身体を支えるように起こして部屋へ連れて行った。

「おうわぁ、重い! ちょっと、しっかり歩いてよ」

この上背を支えながら階段を上るのは結構きつい。文句を言いつつ部屋を開け、近くにあった布団の上に暁を転がした。


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