縁側で恋を始めましょう


暁、どこにいるの。早く会いたい。
会って謝りたい。

そして、もう一度……。

そっと唇に触れる。あの時のキスが甦る。
暁からのキスは嫌じゃなかった。
暁の気持ちは嫌じゃなかった。
あの時に見た暁は男で、どう考えても弟の様には見えない。

だって思いだすだけで、こんなにも胸が苦しくてドキドキして身体が熱くなる。

もう、私にとって、暁はひとりの男の人だった。
越えるのが怖いと思っていた幼馴染の壁は、いつの間にか自分でも知らないうちに越えていたんだ。
暁が好きだと伝えたい。会いたい。声が聴きたい。


そう思うのに、それからさらに一週間以上たっても暁は家に帰ってこなかった。
いつのまにか、季節は秋の気配を漂わせていた。






















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